総務委員会

平成19年3月13日

○土井亨委員 自由民主党の土井亨でございます。六番目でございまして、質問も重複するところも多いかと思いますが、お許しをいただきたいというふうに思います。
 先ほど、萩生田委員から大変厳しい御指摘をされました。NHKの改革といいますか、そういうものがまだまだ進んではいないのではないか、そういう御指摘もございました。
 三カ年計画の二年目ということで、一生懸命取り組まれているとも思っておりますし、また、十九年度予算の事業計画等々、いろいろな資料を読ませていただいても、コンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化ということと、視聴者の皆様方の信頼を回復するというような強い意気込みは感じられるんですが、一方通行的な表現なんだろうというふうに私は思っております。
 やはり、一番大切なのは、国民また視聴者の皆さん方が今NHKに何を求めて何を期待しているのか、そういうものをしっかりととらえてNHKの改革というのは一緒に進んでいかなければならないと思っておりますが、その点、私自身ちょっと物足りなさを感じるところがございますので、改めて会長に、会長自身は視聴者が今NHKに何を求めて何を期待しているのかというふうなとらえ方をしていらっしゃるのか、お伺いさせていただきたいと存じます。

○橋本参考人 お答え申し上げます。
 実際にNHKとしましては、視聴者の方々からどのような期待をNHKに寄せているのかという今日的な、現段階でのアンケートといいますか、調査を行って、データを持っております。
 この内容でいいますと、一番率が高いのが、やはり視聴者がいてこそNHKが支えられるんだというこの意識、私も着任以来、視聴者第一主義と言っていますけれども、この意識というものを全協会的に役職員一同が持ってもらいたいということが第一番に挙げられております。それから、次に、不払いの方がそのままほうっておかれていいのか、不公平がないように公平感をしっかりつくってくれというふうなことが二番目にございます。それから三番目が、災害報道あるいは福祉番組、こういう点について、民放ではできないような番組をしっかりと守ってくれというふうな御意見がございます。
 以下、いろいろ項目がございますけれども、やはりここでいえば、貴重な受信料を大事に使っていく、視聴者あってのNHKという姿をみずから我々自身が持つということを求められている。その結果、いろいろ番組も、その視点に立てば、おのずと視聴者の立場に立った番組になっていくし、それから、受信料ということはやはり公共放送としての自主自律の立場というものを形づくる根拠になってくる、そういうところが相まっております。
 したがって、その視聴者第一という意識、これをまず大事にする、また、受信料の中では、公平負担の御理解を徹底していくというふうなことが我々に求められていることだと考えております。

○土井亨委員 今、視聴者第一、それから公平負担が求められているという、大まか、要点はその二つだというふうに思っております。
 そういう中で、やはりNHKは、受信料は予算の大宗を占めているわけでありますから、国民の皆さんの支持を得て、信頼を得て事業が成り立っている。私自身、そういう考えを持ちながら今の会長のお話を聞いておりますと、それならば、なぜ今、民事手続による支払い督促の実施をやっているのかな、ちょっと順番が逆なのではないかなという思いを常に持っております。
 今NHKが、本当に国民の皆さんから信頼される、そんな新しいNHKに立ち返る努力を真摯に本気になってやっていらっしゃるということであれば、そういうものがしっかりと国民の皆さんに理解された後、やはりNHKは必要なんだ、自分たちが受信料を払うことによって運営されているんだ、そういう納得があって初めて私は民事手続のようなものが理解をされるんだろうというふうに思いますので、今なぜ、受信料がなかなか未払いが多い、そういう中で民事手続を強行すると言うと変ですが、やらなければいけないのか、ちょっと順番が逆だなという思いがあるものですから、NHK会長が視聴者側に立ってどう考えているか、お話を伺わせていただいたところでございます。
 先ほどから問題になっておりました地域スタッフの問題でありますけれども、これはちょっと重複するかもわかりませんが、契約収納費三百五十六億円ですね、これは地域スタッフと事業者への委託関連ということで。これは六千億円の予算からすると相当な金額になるんですが、ずっとこういう形で予算組みをしてきたということは、やはり費用対効果というものも考えながら予算組みをされてきたんだろうというふうに思っていますので、そういう費用対効果という面についてどういうふうな判断をされてこの予算がつくられているのか、お話しいただければと思います。

○小林参考人 お答えいたします。
 今先生御指摘の地域スタッフ、いわゆる委託取次収納員でございますけれども、その経費につきましては、十九年度、要員数で申しますと五千六百人を考えておりまして、その経費は十八年度比で八億円マイナスの三百五億円でございます。その他の外部パートを含めまして、御指摘のように三百五十六億円ということでございます。
 こうした地域スタッフ、あるいは、これはもちろん基幹的なパワーでございますけれども、それを加え、その他の、例えばケーブルテレビ事業者の方、あるいは電器店、量販店などの多様な戦力を外部委託してございます。そういったものを活用しながら成果を得ていこうということでございまして、その成果目標としては、十九年度の予算にございますように、契約総数がプラス二十万件、衛星契約もプラス四十万件、それから、いわゆるお支払いいただいていない方の回復を三十二万圧縮したいということでございます。その結果、受信料収入、十八年度比では百九十億円の増収を図ろう、これを成果目標としているところでございます。

○土井亨委員 成果は上がっているんだという。だとすると、私は、なぜ訪問集金廃止に向かって二十年度以降準備をするというふうになるのか不思議でたまらないんですが、私自身の考え方からすると、ここに矛盾があるんだというふうに思っております。地域スタッフや事業者に委託をして、先ほど萩生田先生がお話しになったように、ただ取れるところから、納めてもらえるところから集金に行って、それでいいんだというような考え方、そしてまた電化店やらいろいろなところに頼んで、不動産に頼んで、引っ越ししたらそこを教えてください、NHKに契約してくれるように頼んでくださいとそこに行く。それだけならば、私は、地域スタッフという人に対しての活用が間違っているのではないかというふうに思っております。
 やはり地域スタッフというのはいろいろな契約形態があって地域スタッフがいるんでしょうけれども、NHKの公共放送としての価値、またあり方、そういうものをしっかりと説明ができるような地域スタッフでなければ、納めていただけるところにはどんどん行って納めてもらう、でも嫌なところには行かないんだということであれば、私は、地域スタッフそれから事業者の委託というものに対してこれからも間違った方向に行くような気がしてならないものですから、あえてちょっとお話をさせていただき、聞かせていただきますが、この訪問集金、それと事業者への委託ということでやられていて、何か問題やら、国民の皆さんからいろいろな苦情がもしあればどういうものか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○小林参考人 地域スタッフにつきましては、全国で現在五千七百人ですけれども、それが日夜訪問活動を続けながら取り組みを進めている。その活動は大きく言って二つでございます。訪問による新しい契約をいただく取り組み、引っ越し等も含めます。それから集金をさせていただくという取り組みでございます。
 我々としては、今、営業コスト削減ということが経営としても重要な課題であるという観点を踏まえまして、そういう中で最も時代に見合った合理的な手法は何かということで、その訪問活動の二つの要素のうちの一つの集金活動を見直しさせていただきたい、それを担っています地域スタッフのパワー等を契約開発等に振り向けていこう、それで一千万という未契約をより解消してまいりたい、そういう取り組みをしているという中でありますけれども、その活動だけじゃございませんで、先生が御指摘のように、地域スタッフというのはあくまでも視聴者の皆さんとの接点の最前線に当たるという活動をしています。したがいまして、当然ながら地域スタッフは、公共放送は何たるものかということを徹底教育させていただいております。そういう中で、その説明をしながらお客様との対話をさせていただく、そこでいただいた声を持ち帰って反映させていただく仕組みはできております。そういった中でやっているということでございまして、もちろん、そういった活動を含めて、地域スタッフというのは極めて重要な戦力であるというふうに認識しておるところでございます。

○土井亨委員 ぜひ実りのある、実効性のある、NHKとしては、私は、地域スタッフというのは、先ほど申し上げましたとおり、地域の皆さんの声をしっかり酌み取ることができる一番の現場で頑張っていらっしゃる方だと思いますので、その地域スタッフの皆さんの活用と言うと変ですけれども、頑張ってもらう土壌、そういうものをしっかりつくっていただければ、もっともっと私はNHKさんに対する理解度が末端の地域の皆さん方からも上がってくるのではないかな、そういう思いがございますので、よろしくお願いをさせていただきたいと存じます。
 続いて、会長にお伺いをさせていただきますが、この事業計画を見ておりまして、総合テレビは一日二十四時間放送なんだ、衛星放送も二十四時間放送だ、教育テレビは二十一時間放送、まあ基本的にそういう形だというふうに書いてありました。そしてまた、私は、公共放送として一番大切な地域とのかかわり、まさしくNHKさんは津々浦々放送局があって常に情報が全国に流せるわけでありますから、その地域放送というのもしっかりと頑張っていらっしゃるんだろうなという思いがございましたら、地域放送は一日三時間だというような基本的な考え方、事業計画に書いてありました。
 私自身、NHKさん、なぜ二十四時間なんだろうな、二十四時間じゃなくてもいいんではないか、それこそ災害やら緊急なときにしっかり二十四時間報道していただく、これが視聴者の皆さん、国民の皆さんの安心、また情報伝達というものに役立つんだろうと思いますから、それも否定しませんが、通常なぜ二十四時間にこだわるのかなという思いがあります。
 それで、二十四時間やって深夜どのぐらい経費がかかるんですかねというふうなお話を伺いましたら、〇・四億円ぐらいで、再放送が主なんで著作権分ぐらいですねというようなお答えなんですね。だとすれば、私は、何も二十四時間である必要がないと思いますし、その分、視聴者が求めるいろいろな報道、また災害時に対する備え、やはりそういうものにもう少し視点を置かれた方がいいのではないかなというふうな思いもございます。
 また、教育テレビも二十一時間、教育番組を教育テレビで深夜まで見ていらっしゃる方、どのぐらいいるのかな。そういうことからすれば、学校教育の中でのテレビ教育というものの充実を図ったり、もう少し視点を変えることによって教育テレビの充実を図る、総合テレビの充実を図る。
 また、地域放送という意味で、公共放送、まさにいろいろな地域で頑張っているようなところをしっかりと全国に発信していく、そういう視点が重要なんだろうというふうに私は思っておりますが、会長として、その辺についてのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

○原田参考人 お答えいたします。
 まず、総合テレビでなぜ二十四時間放送をするのかということでございますけれども、先ほども災害報道のことがございました、今議員も御指摘でございました。災害報道に当たりましては、いざというときに即お伝えできるという体制が必要でございます。放送をとめてしまいますと、放送を立ち上げるまでにやはり少し時間がかかります。そういう意味では、ライフラインとも言える総合テレビであったり、ラジオ第一放送であったり、こうしたものは二十四時間、今の時代はやはり放送していくことが必要であるというふうに私ども認識をしております。
 それから、地域放送のお話がございました。
 地域放送につきましては、私ども、十八年度から力を入れてまいりましたけれども、十九年度、さらに力を入れてまいりたいというふうに思っております。今、日本の地域社会、どこもさまざまな課題、経済の活性化であるとか、医療の問題であるとか、高齢化の問題であるとか、本当にさまざまな課題を抱えているというふうに思いますけれども、それぞれの地域放送局がその地域のそうした課題に向き合って、視聴者の皆さんと一緒にその地域の先を考えていく、そういう取り組みを十九年度はぜひさらに強めて、そうした放送を全国放送につなげて全国発信をしていくというふうに考えておりまして、放送を通して地域を元気にする、活性化させる、あるいはさらにきずなを強めていく、そういうふうに役立つ地域放送を目指してやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○土井亨委員 緊急報道のときに立ち上げるのが大変時間がかかるのでということであれば、それはそれで当然なんだろうと思いますが、であるならば、やはり深夜放送というものをもう少し考えた形で、私も再放送とかよく見るんですが、何でこんなのを深夜に再放送しなきゃいけないんだというものもあると私も感じております。せっかく二十四時間、そういう緊急時のために放送し続けるということであれば、中身ももう少し吟味をしたものをぜひ放送していただきたいというふうに思っております。
 最後に、NHKとよく比較されるBBC、これと比較するのは大変不本意なことだと私自身思います。BBCはBBCの運営があるんだろうし、日本放送協会、NHKはNHKで、やはり日本の公共放送としてのしっかりとしたものを築いていただきたいというふうに思っておりますので、比較は余りしたくないんですが、ただ、やはりNHKの経営委員会というのは生命線だというふうに私は思っております。
 私は、経営委員会というのは、やはり独立性がなければ、運営事業に対して、また経営に対してしっかりとした物が言えないのではないかという疑念も持っているものですから、経営委員会の独立性というものを、これは副大臣、どのようにお考えになっていらっしゃるのか。
 事務局スタッフ七人、これはまたNHKさんの職員だろうというふうに思っておりますので、職員の皆さんが七人のスタッフで、どういう形で独立性を持って、いろいろな情報を収集しながらしっかりとした情報を経営委員会の皆さん方に伝えることができるんだろうかという私自身の思いもあるものですから、経営委員会の独立性と事務局のスタッフ充実というものを副大臣としてどうお考えか、お伺いをさせていただき、また、会長、通告しておりませんが、もし会長のお考えもあればお話をいただきたいと思います。

○田村副大臣 経営委員会でありますけれども、現在の体制の中でそれぞれ頑張っていただいてはおるんですが、しかし、結果として、NHKのいろいろな不祥事の問題がある中において、国民的な信頼をNHKは失ってしまったという事実がございます。でありますから、この経営委員会をどのように強化していくか、これはガバナンスの強化、喫緊の課題だというふうに我が省としても受けとめております。
 そういう中での今からの制度整備という話であるわけでありますけれども、今回いろいろと御意見をいただいたりだとか、「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」、こういうものを踏まえて考えますと、例えば、この経営委員会の中において、今までも経営の基本方針やコンプライアンス、こういうものに関しては当然のごとく担当をしていただいておったわけでありますが、これをしっかりと議決事項に追加していこう、こういうようなことを入れたりだとか、コンプライアンス委員会の方はもうできておりますけれども、こういうものを整備したりだとか、また常勤化でありますとか、いろいろなことを進めていくわけであります。ある意味、監査委員会というものをつくってNHKをしっかり見ていこうと。
 当然、こうやって委員会、委員の先生方にいろいろな役割が入ってまいりますと、これは事務局も充実をしていかなければならないんであろう。今の七名という先生のお話ありました、BBCがいいかどうかは別でありますけれども、しかし、今までよりも経営委員会の役割がさらに大きく強くなるわけでありますから、やはりそれに相当した事務局の強化というものは、我々といたしましてもぜひともお願いをいたしたい、このように思っております。

○橋本参考人 経営委員会の重要性についてお答え申し上げます。
 特に、今NHKが抱えている中で、経営委員会の監督機能の強化という点は大変重要だと思っております。その中で、今副大臣から御説明ありましたような具体的な措置がとられております。
 現在、経営委員会の事務局については、すべてがNHKの職員ということではなくて、外部の方々も入っていただいて運営しております。NHKの仕事の進め方ということを経営委員の方々にもよく御理解を得るためには、NHKの職員が入っていくという役割もあろうかと思いまして、そういう形になっております。
 それから、委員御指摘のように、経営委員会の独立性というものも大変重要な問題だと思っています。これは、執行部からも独立して、しっかりと執行部を監督するという役目もございます。
 それから、先ほども委員から話がありましたように、いかにして視聴者の声をこの経営委員会の場を通じて執行部に提示するかということも大事だと思います。
 それからまた、当然ながら、NHKは報道機関として、言論の自由といいますか、自主自律という性格も守っていかなければならない。
 こういう点について、BBCの場合も大変考えているわけでありますけれども、やはりそういう面で、経営委員会という機能が、執行部に対して独立した形で、いろいろな立場から独立した形で執行部を指導監督していくという、ここは大変重要なことでありますし、我々も、そういうふうな経営委員会の改革、改善というものを、時代に対応しまして事業運営を行っていきたいと思っております。

○土井亨委員 終わります。ありがとうございました。