総務委員会

平成18年11月28日

○土井亨委員 自由民主党の土井亨と申します。よろしくお願いをいたします。
 きょうは、大変貴重な御意見を賜りまして、まず心から御礼を申し上げさせていただきます。
 私、宮城県仙台出身でありまして、県議会議員も経験をさせていただいて、寺田知事さん初め北東北三県の知事さん方がいち早く広域行政、広域連携ということで取り組まれた、その姿を大変うらやましくも感じさせていただいたところでございましたし、また、そういう広域行政を展開する中で、国と地方のいろいろな摩擦やら壁というものを実感的に感じられながらの広域行政推進だったというふうに思っております。また、資料を見させていただくと、今度は北海道さんも加わって、北海道と北東北三県ということで頑張っていらっしゃるということでございまして、まず寺田知事さんに、この推進に当たりまして、やはり国とどうしてもぶつかる、国がこれほど障害になるとは思わなかったという事例があれば、私の勉強のためにも一言お教えいただきたいと思います。

○寺田典城君 具体例としてこれがだめだったとかというのは、いろいろな面で、例えば何々特区ということで、どぶろく特区だとかいろいろあったり、これは私、どだい特区制度というのは無駄なことなので、権限移譲すべき、ますます事務を繁雑にしているということでは言ってあるんです。やはり制度を変えなきゃならぬというのが基本的です。制度を変えなければ社会は変わらない。そういうことで、北東北三県で物を進めていくに当たって、現在の国の制度の中で執行せざるを得ないというのが、基本的にやはり物の考え方が狭められている、形としてはそういうことです。
 ですから、はっきり言って、北東北三県一緒になりましたら、一国二制度の中で、北東北三県は、それこそ雇用なんかは〇・六とか青森が〇・四だから、税制は、法人税は二〇%にするとか、それから、日銀がやる全国一律の金融制度ではなくて、金融制度は地方によっても変わるとか、制度を変えない限りは格差はますますついていくだろう、そのように思っていますから、やはり分権のある姿をしっかり方向づけをして、分権型の社会の中で地方が生き残る道筋を立てる必要があるんじゃないかな、そう思っています。

○土井亨委員 ありがとうございます。
 寺田知事さんには道州制についてもいろいろお聞きしたかったんですけれども、それは別の機会にぜひお聞きしたいと思いまして、きょうは、推進法の法案について具体的にちょっとお聞きさせていただきたいと思うんです。
 私ども、地方議会にいたときも、地方分権ということで随分騒ぎました。その際一番やはりこだわったのは、地方と国の役割分担。これはいつの世にも、国と地方の役割分担ということで明確にせよという、地方制度調査会も含めて必ずその役割分担の明確化というのが出てくるわけですが、本当の意味で今現実に分担が明確になっているかというと、私はどうもそうではないのではないかと。地方自治法の一条の二、これは十一年に新しく追加をいたしました。今回の法案も、分担すべき役割を明確にせよ、その基本理念にのっとって法案ができているというふうに私は思っておりまして、まずは、遅まきながら、国と地方の役割分担というものをしっかり明確にすることによってこの法案のすべてが成り立っているんだろうというふうに私自身は思っております。
 そういう中で、先ほども事務事業の移譲とかいろいろな意味でございましたが、この役割分担を明確にすることによって事務事業が移譲されて、それによって私は税財源というものがしっかりと明確になってくるんだろうというふうに思っていますので、その点、国と地方の役割分担というものを具体的に、もし、こういう形だという思いがあれば、知事さん、市長さん、町長さん、地方自治という中で国に対していろいろ物を言っていただいているわけですから、御意見をいただければというふうに思います。

○寺田典城君 基本的には、二十一世紀の日本の国家像というのは、私たちに、国民に示されていないですね。
 やはり、中央省庁が、国内の内政というか、自治体行政とかそういう形に対して主なエネルギーを注いでいることで、グローバルな社会に対応した、要するに国の役割は、その中で防衛だとか外交だとか、それこそ全体的な財政だとか金融制度のあり方だとか含めて進めるべきであって、例えば今問題になっている教育だって、教育の基準は何であるかということをきっちり進めれば、どこの県だって市町村だって、自分たちの町はいい教育をしたいというのはだれだって思っているわけですから、それを道路の財源に使っちゃうんじゃないかなんということはあり得るわけがない。そういう町長なんか当選できるわけがない。やはり骨格を、基本を国がすべきであって、あとは、実際の住民行政にかかわること、それから地域振興にかかわることはやはり広域行政でやらせるべきだ、私はそのように思っています。
 ですから、知事会議でも具体的な例として、きょうは時間がないですから、私は例示できるんですが。要するに、そうなってくると、国家のやるべきことというのはおのずと決まってくると思いますし、県行政も、これは将来やはり道州制でなければやっていけない行政システムだと思います。そういうことで力をつける、あと市町村、そういうような形でやはり進めるべきだろう。住民に密着したものはすべてが市町村行政だろう、そのように思います。
 ですから、ある面では、私の県行政というのは、市町村行政あって初めて県行政だという割り切り方をしておりまして、市町村のサポーターが県行政であるという形で進めている。ですから、地方のサポーターとして国家があるべきだ、そういう考えになったら、もっと効率的に、もっとパワフルな自治体もできるし国家の姿にもなるんじゃないでしょうか。お願いします。

○佐竹敬久君 なかなか財源と権限との問題というのは難しい点がございます。財源が先か、権限が先かという。
 ただ、日本の行政制度、国と地方との行政制度を大きく考えますと、どちらかというと、ヨーロッパ、アメリカ等の分権社会が進んでいると称されるところは、まちづくり関係というのはほとんど自治体の権限、逆に、福祉政策というのは国が相当大きく、きっちり統一的にやる。これが実は、今の方向は逆なんですね。福祉関係についてはより細かく地方の方の負担が非常に大きくなっているし、それはそれで、地方として、我々、創意工夫の中でルール以外のことについても特色に合わせてやる。
 ただ、まちづくりの面というのは、これは非常におもしろい点なんですけれども、片方で規制緩和というのは必要なんですけれども、例えば、秋田市内のマンションの建築、ほとんどこれは東京のいわゆる建築確認、私どもはどうしようもない。一方で規制改革ということで、これは例の姉歯の問題にもつながってきたんですが、それが悪いというんじゃないですけれども、まちづくりというのは非常に目に見えるところです。これはやはり、雪の降るところ、降らないところ、同じ雪の降るところでも全然違います。ですから、大きな高速道路、あるいは骨格的な、そういう国が本来一義的にやるものと、地域でそれぞれの住民の理解と議会の理解とを得ながらやるものと、ここら辺が逆転しているというのが今の日本ではないのかなと。
 ここら辺を考えていきますと、これは農業政策でも同じであります。最も地域の特色を生かさなければならないところが、ほとんど統一的になっている。そこら辺が、これは全体の問題として非常に大きな問題ではないのかな、そういう問題意識を私は持っております。

○齋藤正寧君 仕事の分担で申し上げれば、福祉、保健、介護、教育、これは幼児教育も含めてです、こういった住民生活に深くかかわっているものはやはり基本的に市町村の権限だ、こういうことをしっかり私は分権社会の中で形づくっていくべきだなと。
 たまたま私、保育園と幼稚園を統合しようと。職員の理解を深めたり、給料法の統一を図ったり、準備を七、八年やりました。実際、合築しようとすると、できないんですね。当時はまだ平成七年ですから、補助金をもらわなきゃいけない。そうすると、県の窓口、教育委員会に行く、県の担当官に行く。それぞれの担当官はやはり本省に向けていい顔をしなきゃいけない。本省もそれなりの縄張りをやる。結局、どうやったかというと、建築基準法上、七メーター離して、後で廊下でつなごう、こういう形で実は統合したんですよ。でも、やはり合築と違って使いづらい。今度、県から幼保一体化ということで認定保育園の承認はしていただけるわけですけれども。そういうことは、やはり縦割り行政が末端まで来ている。
 町の中でもそういうことが起こりました。では、この管理をどこでやるの、教育委員会でやるの、町長部局でやるのと。教育委員会でよければ、どうぞ教育委員会でと。こうやって実は建てた経験があります。そういうようなことで、町村の裁量の中で対応できる、ここがポイントだと思います。

○土井亨委員 ありがとうございます。
 十一年の地方分権一括法のときから、国と地方は対等な関係と言われたんですが、今までお聞きして、なかなか対等にはいっていないなと。最初の寺田知事さんの、やはり国のそういう役所、官僚を打破する、それは政治の力だ、政治がしっかりと取り組まなきゃいけないというようなお話はもっともだなというふうに思っております。
 時間もありませんので、最後に、第七条で「地方公共団体の行政体制の整備及び確立」という、先ほど町長さんから、その整備、確立というのは合併か、そうじゃないだろうというお話もございましたが、この整備、確立を図るという、これは地方から見てどういうものなのか。そして、二で、こういう地方団体の活動に必要な支援を国はするというふうにうたっているわけでありますが、この国の必要な支援というものはどういうものを想定されているのか、質問をしておいて一言というと変ですが、簡潔に御意見を伺えればというふうに思います。

○佐藤座長 どなたに。全員の方にということですか。

○土井亨委員 では、齋藤町長さんは先ほどここの部分で御意見を御披瀝いただきましたので。

○齋藤正寧君 素直に読めば、これは強制合併をやるのかな、私はそう受けとめていますけれども、分権と町村合併は全然別次元の問題ですよというふうに私は考えております。役割分担をきっちりすれば、小規模自治体は合併するか、こういう動きになると思うんですけれども、これは発想が逆です、平成の合併も。財政問題にみんな集約されている、こういう反省を踏まえれば、ここは慎重に考えてほしい。

○土井亨委員 二の、「地方公共団体に対し必要な支援を行う」ということでうたっていますので、この支援というのは、地方からするとどういう支援を想定されるか、もしあれば。

○齋藤正寧君 交付税の算定特例とかそういうことでしょう、従来の合併促進法の。そんなことを、もっと何か特例債みたいなものをやるんですかね。このあたりは不明です。

○土井亨委員 ありがとうございました。