総務委員会

平成18年4月25日

○土井亨委員 おはようございます。自民党の土井亨でございます。
 分科会のときに、大臣には道州制を含めた地方分権につきましていろいろ御質問をさせていただきました。きょうもまた、地方自治法一部改正ということで、私自身は、本来は地方自治法のあり方というものをぜひ議論したいなというふうに思ってもおりますが、委員会で一部改正法というのが出ておりますので、その部分を若干初めにお聞かせいただきたいというふうに思っております。
 先ほど葉梨委員からいろいろお話がございまして、長と議会の緊張関係、私も地方議会出身者として、本当の意味での緊張関係が保たれる地方議会制度とはどういうものだろうか。私自身が実感をしていますと、なかなか首長の権限が強過ぎて、ある意味太刀打ちできないというものもありますし、そういう壁にぶつかることもございます。議員として条例を何とかつくり上げたいと頑張っても、変な話、理念条例になってしまう、そっちの方に持っていかれる。やはり予算を伴うということになりますと、首長の権限にぶつかるというような形で、一生懸命やればやるほど壁にぶつかることも多い。それでいて、車の両輪と言われる今の地方自治法というものが、健全に地方の自治を実現するためにしっかり機能しているかな、そういうものもなかなか私自身は疑問を持っております。
 そういう中で、初めにちょっと簡単にお聞かせいただきたいと思うんですが、今回、議長に臨時会の招集請求権、これは議運の議決を経て二十日以内に招集する、現行の四分の一の請求、これの整理を私はしなければいけないというふうに思っております。片や期限も決められていない、片や議運の議決で二十日以内に招集する、この辺の整理について、どのように考えればよろしいのか、まずお聞かせください。

○高部政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の議長の招集請求権の規定は、審議の機会を広く保障するといった見地から、緊急を要する事件が発生したときに、議会のイニシアチブによりまして、迅速かつ円滑に臨時会の招集が行われる制度を導入する必要があるとして立案されたものでございます。
 御指摘ございましたように、一方で、かねてから、議員定数の四分の一以上の者からの招集請求といった制度がございます。二つがどう機能するかということになるわけでございますが、これまでございました定数の四分の一以上の請求というのは、今の制度と関連して考えますと、最低限四分の一を集めれば審議の場としての議会の招集を行うというようなことになってまいりますので、そういう意味では、言ってみれば少数会派からの請求を保障したというような形で、この改正がお認めいただければ、そういう整理になろうかというふうに思っております。
 なお、請求があった場合には、いずれにしても二十日以内に、改正をお認めいただきますと、二十日以内に招集しなければならないということになっているものでございます。

○土井亨委員 現行四分の一でも二十日以内というふうに理解してよろしいですか、両方とも二十日以内と。(高部政府参考人「はい」と呼ぶ)
 続いて、その前に、私も県議会のときに、定例会の招集権がなぜ議長にないんだろうか、そういう議論を議会の中でしたこともございます。今回の答申にも、そういう方向でというふうな答申内容も見受けられますので、今回、議長の議会の招集権というものを見送られたその理由をお聞かせいただければというふうに思います。

○高部政府参考人 お答えを申し上げます。
 議長に招集権をという御意見が議長会等から強く出されていたところでございます。そういうこともございまして、地方制度調査会の中ではかなり突っ込んだ議論がなされたところでございます。
 いろいろな立場の御意見があったわけでございますけれども、結局のところ、そもそも長に招集権が認められるというのは長い沿革を有するものでございまして、長の権能というものをどう考えるのか、また長と議会との関係をどう考えていくのかという部分の根幹にかかわるようなところもございます。また、実態を見ますと、長が事実上議案の大半を提案しているといったような実態が見られるということで、そこで地方制度調査会としては、招集請求権を付与したらいいのではないかというのが結論になったということでございます。

○土井亨委員 ちょっと私自身理解できないんですけれども、やはり議会と長のバランスというか権限バランス、またこれから議会のありようというものを、本当の意味で地方自治を確立して実現していこうとすれば、私は当然、いろいろな今までの経緯があっても、議長に招集権というものをしっかりと付与すべきだというふうに考えております。今までは定例会というのは年四回と定められておったものが、回数は条例で定めるということで改正をされたわけでありますから、なおかつ、招集権というのは定例会においても議長にあってしかるべきだというふうな考え方を私は持っているということだけはお話をさせていただきたいというふうに思います。
 時間がありませんので、一つ、監査委員というものについてお聞かせいただきたいというふうに思います。
 今回、監査委員ということで、条例によって増員が認められる、私は大変すばらしいことだなというふうに思いますし、この点は大変評価をいたしております。
 しかし、やはり監査委員というのは、監査委員事務局も含めて、独立をした、公平中立でなければならないのではないか。そういう中で、監査委員が幾らしっかりと公平中立に頑張っても、事務局のありよう、事務局の今の体制というものに私は少し問題があるのではないかな。これは議会事務局もそうだというふうに思っております。
 そういう中で、監査委員の事務局の体制について、これからの望むべき姿というものをどのような形でお考えになっていらっしゃるか、お聞かせください。

○高部政府参考人 監査委員あるいは事務局、議会事務局等について御指摘がございました。
 監査委員についていいますと、地方行政の公正で能率的な運営を保障するという監査委員の機能からかんがみますと、監査委員の独立の確保というのは非常に重要だと認識しておりますし、また、これを補佐する事務局の職員についてもその趣旨は十分尊重されることが必要だ、委員御指摘いただいた点はまことにそのとおりだというふうに思っておるところでございます。
 ただ、現実に地方公共団体の状況を見たときに、やはり全体の人事運用ということになりますと、全体の中で事務局職員がどのくらいの人数いて、全体の中でどういう運用をしていくかということについていいますと、必ずしも、いろいろな制約があるものですから、委員御指摘のように十分というのはなかなか難しい面があるかもしれませんが、いずれにしても、各地方公共団体におきまして、いろいろな制約がある中でありましても、適切な運用をいろいろ努力していくということが大事だろうと思います。
 私どもといたしましても、いろいろな助言や情報提供といったことにできるだけ努めてまいりたい、かように考えているところでございます。

○土井亨委員 私自身は、県議会議員のときから、監査事務局、議会事務局は独立して採用ができないものかな、そういう議論もさせていただいてまいりました。やはり議会も政策立案能力を高めなければいけない、監査もしっかりとした体制で、執行部に遠慮しない、遠慮しているわけではありませんでしょうけれども、そういう面で、本当の意味での監査制度というのが確立されているのか、本当の意味での議会としての活動をしっかりとサポートする事務局なのか。人事を見ましても、任命権者は、議会事務局は議長ですし、監査委員会は代表監査委員だというふうに思っていますが、現実に人事は、知事が人事をやるわけですから、どうしても議会事務局も監査事務局もやはり執行部を見て仕事をしてしまう、こういうものはあるのではないかなというふうに私は思っております。
 そういう意味では、独立した採用というものが必要だというふうに思いますが、そういう中で、地方公務員法二十三条に職階制がありますけれども、これをぜひ活用すればいいのではないかと私なりに考えておるんですが、その点はいかがでしょうか。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 今、行政局長からも答弁がありましたように、先生御指摘のように、ある意味、議会の活動あるいは監査委員会の活動を支えるスタッフを充実させるということは大変重要なことだと私ども考えております。
 ただ、先生御指摘の職階制ということに関しますと、国家公務員法も含めまして、制定以後随分期間がたっておりますが、まだ実施されていない状況でございます。これはさまざまな要因がございますが、現実には、国におきましても、そうした人事管理というのは基本的には各省ごとに行われておりまして、そういった専門性ということに関しましては、例えば国の場合におきましては、衆参の事務局あるいは検査院といったようなところの中で専門性を培っているものと承知しております。
 ただ、これも先ほど答弁があったことでございますが、地方公共団体におきましては、行政組織の規模を考えますと、監査委員会の事務局あるいは議会事務局の単位で実質的に独立した人事管理を行うことはなかなか現実問題としては難しい面があるのではないかなと思っております。
 ただ、先生の御指摘、大変重要でございます。したがいまして、専門性を高めるという観点から申しますと、訓練あるいは研修の充実といった観点からそういった専門性を高める努力をすることは必要でございますし、また、現実の個々の職員の人事配置に当たっても、専門性についてできる限り配意して、適正で能率的な行政運営に努めていくことが重要であると考えている次第でございます。

○土井亨委員 今御答弁いただいたんですが、やはり地方自治法、本当の意味で、地方自治の本旨というものに私は国が少しストップをかけているような気がします。地方自治法にもいろいろな意味で制約がまだまだあります。今お答えいただいたように、国の関係で、地方公務員法の中に職階制をしっかりと採用すべきということで明記をされている。これは専門性をしっかり高めて責任もしっかり明らかにできるような形の採用制度だということで、本来であれば、これをしっかり進めていくのが私は地方公務員法の目的であると思いますし、趣旨でもあると思いますし、また地方自治法の目的に資するものだというふうに思っております。
 もう質問いたしませんが、今のような答弁ですと、なおさら地方自治の本旨に、私は、少しそういう面で国がストップをかけているような、本当の意味での本旨とは何だろうかというのをもう一度問い直さなければいけないのではないかと思いますが、大臣、今のような考え方、いかがでしょうか。

○竹中国務大臣 まさに私どもが考えなければいけない、常に原点の問題であろうかと思います。地方自治の本旨にのっとって本当にしっかりと今の制度が成り立っているのか、そしてそれが行政上運用されているのか、常に立ち返っていかなければいけない問題であろうかと思います。
 同時に、なかなか難しい問題でもあろうかと思います。我々としては、その意味では、非常にわかりやすく言うと、これは住民自治、団体自治を実現していかなければいけないわけでありますけれども、それを実現するためには、要するに、いろいろな問題があるわけですけれども、地方でできることを地方でやるということを柔軟に行う体制を一歩一歩つくっていくということにやはり尽きるのかなというふうに思っております。今回お願いしている法律改正も、そのような意味では、まさにそうした本旨に立ち返って、我々としてもやはり必要であろうという判断を最終的にしたわけでございます。
 振り返っていくと、地方自治について憲法で規定されていて、それで地方自治法がつくられるわけですけれども、地方自治法が国会で、国でつくられるということに結局はなるわけでございます。そういう中で、まさに地方でできることを地方で、住民自治と団体自治をいかに実現していくかということを常に考えながら、目の前にある問題を一つ一つ片づけていくというプロセスの中でそれをぜひ実現していきたい。繰り返しになりますが、今回の法律改正はその一歩、〇・一歩か〇・五歩か一歩かわかりませんが、そこを少しでも前進させたいというふうに考えているところでございます。

○土井亨委員 今、構造改革ということで、改革、大はやりですけれども、私は、一〇〇%の改革というのはすぐにできないんだろう、やはり一歩一歩地道に改革を進めていく姿が本来あるべきものだろうというふうに思っております。
 そういう中で、地方分権が叫ばれて、また地方自治法改正ということで、足らざる部分は承知をしながら一歩一歩前に進む、ぜひそういう決意で、今お話をいただいた形の中で、地方自治法の目的、また今お話ししました地方公務員法の目的、また地財法等々の目的、やはり地方自治というものをしっかりと確立するための法律でありますから、その趣旨にのっとった形での改正、今まで国が地方をそういう法がありながらも少しストップをかけていたというような形にならないように、ぜひお願いをさせていただきたいと思います。
 時間がありませんが、最後に、今、地方自治の本旨ということで、住民自治、団体自治という形で大臣からお話がありましたが、この二本の地方自治の本旨という概念が、私はあいまい過ぎるのではないかなというふうに思っております。ですから、それが私は、今のような、中央集権と言われるような形で地方分権がなかなか進まない、法もしっかりと現実的にならないということになるんだろうと思います。
 ぜひ、住民自治と団体自治というものの明確な、大臣、考え方がありますればお話しいただきたいというふうに思います。

○竹中国務大臣 これは大変難しい御質問をいただいたというふうに思っておりますが、まさにその原点は憲法にあり、そして憲法を受けて地方自治法でいろいろな制度がつくられている、その解釈として住民自治、団体自治。これはとりもなおさず、しかし先ほど申し上げたことにまた返っていくんですが、地方でできることを地方で、できるだけ身近なところで皆さんに決めていただこう、その問題については物すごくたくさんあるけれども、一つ一つそれを丁寧にやっていこうではないかということだと思っております。
 三位一体の改革の評価についてはいろいろあろうかと思いますが、それに関しては、税源移譲を含むその第一歩であったというふうに思いますし、しかし、改革に終わりはありません。今後さらにやらなきゃいけないことが随分たくさんあるというふうに思っております。大きなところでは道州制がありますし、もっと身近なところで交付税のより効率的な活用という問題もございますでしょう。そうした問題一つ一つ丁寧に対応していくということが、結局のところ、形としての住民自治、団体自治をつくっていくということであろうかと思っております。

○土井亨委員 急造の形で、本旨とはイコール住民自治、団体自治、イギリスやドイツから引っ張り出してきて当てはめたということだというふうに私も思っております。今のような形ではなかなか地方分権は進まないというふうに思っていますので、まず基本的に、地方自治の本旨というものを日本の国としてどうしっかりと位置づけるか、明確にしっかりと形づけるか、私はそこがスタートだというふうに思っております。
 今、三位一体やらいろいろな形で地方分権が道州制も含めて議論をされておりますけれども、私自身は、ただただ地方分権ということで、そういうことに固執していては進まないというふうに思っております。やはり日本の地方分権のあるべき姿、地方自治のあるべき姿というものを明確にしっかり示すことから始めませんと、なかなか前に進むことは難しいなというふうに思っております。
 ぜひ、もう一度憲法の地方自治の本旨というものを振り返りながら、そのために法律というものがつくられておりますので、その法律がしっかりと本旨に沿った形で実現できるような、思い切った改正というものを断行していただきますようにお願いさせていただきまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。