予算委員会第二分科会

平成18年3月1日

○土井亨分科員 おはようございます。自由民主党の土井亨でございます。
 きょうは、質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 私も地方議会、県議会議員出身でございまして、ある意味、地方の議会におりますと、やはり地方分権、地方分権何ぞやというそもそも論があるんですけれども、権限また税財源の移譲、もっと地域が地域の自主性、またいろいろな地域の事情を踏まえながら地域なりの地方自治体経営をしたい。そのためには、やはり分権というものは、地方から見ると大きな期待を持っていろいろ議論をさせていただいておりました。
 地方分権というか、国の形を変えるという意味では、私が県議会におりましたときに首都機能移転というものがございまして、あのときには、首都機能移転の候補地、全国的に手を挙げまして、過熱するほどの誘致合戦といいますか、そういう行動、要望等々で一生懸命頑張ったという思いがございます。最終的には候補地が二候補、関東以北ですと那須がありましたでしょうか、二候補が決まりまして、いよいよ東京一極集中の是正、首都機能移転をすることによって分散をされて、地域の時代が来るのではないかと大変期待をいたしておりましたけれども、いつの間にか、首都機能移転という国会決議までなされた問題が、地方からするとうやむやになって、下世話な表現をするとお蔵入りになってしまったのかなというような思いがございました。
 もう一方で、地方分権一括法、これで自治事務、法廷受託事務、地方の役割、国の役割というものが選別されて、これもまた地方分権というものに対しての一歩前進だというような期待がございました。いろいろそういう中で今日まで来ているわけでありますけれども、地方の側からすると、なかなか進まないなというような思いもございます。
 後ほど一括法というようなものもちょっと質問させていただきたいと思いますけれども、やはりこの地方分権、地方制度調査会の答申が昨日出されましたけれども、道州制というものが大きくクローズアップされまして、この国の形を変える、この国の将来、十年後、二十年後、どういう日本の姿が一番ベストなのかということで、道州制というものの答申をされました。
 大変恐縮でございますが、けさの新聞で私もちょっと目にしたものでありますから、昨日の委員会でも大臣は道州制についていろいろお話しいただいていると記事にも拝見をいたしましたけれども、改めて、地方制度調査会が、日本の新しい形、日本の新しい姿は、大変だろうけれども道州制というものに移行することがいいのではないかということで正式に答申をされておりますので、そのことに対してぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。

○竹中国務大臣 今土井委員から話がございました、昨日、第二十八次地方制度調査会におきまして「道州制のあり方に関する答申」が決定され、総理に提出されたところでございます。
 私はこういうふうに考えているわけでございます。小泉改革というのは、いろいろな御批判も御意見もあろうかと思いますが、基本的には、現場を信じて現場に任せる、そうすることによって自立、活力というのがもたらされる、それが私は小泉改革の本質なんだと思っております。だから民間でできることは民間でやるし、だから地方でできることは地方でやる。現場を信じて現場に任せる。そのときの地方という現場において、もちろん今もう皆さん大変努力しておられるわけですが、やはりある程度の財産的な、財務的な基盤が必要である。だからこそ、基礎自治体にはある程度の基盤を持ってもらいたいということで、合併も促進をさせていただいている。
 そうしますと、合併が進んで、今千八百ぐらいの数になるわけでございますけれども、今後さらにこれを進めていった場合に、どうしてもやはり広域自治体の役割というのが、私の出身の和歌山県で申し上げると、人口百万ぐらいでありますから、和歌山市が四十万ぐらいですから、あと十万とか二十万の都市がふえると、市が幾つかできると県になってしまうわけで、そうすると、県という広域自治体がそのままでよいのかというのは必然的に私は出てくるんだと思います。
 そういう意味で、昨日の答申におきましても、広域自治体改革を通じて国と地方双方の政府のあり方を再構築して、我が国の新しい政府像を確立する見地に立つならば、具体策として道州制の導入が適当と考えられるというふうにしているわけでございます。その意味では非常に意義深い御答申をいただいたと思っています。
 同時に、きのうの答申では、こういう道州制の導入に関する判断は国民的な議論の動向を踏まえて行われる必要がある、もう一つのやはり重要な点も御指摘いただいておりますので、こうした点を踏まえながら、我々も適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

○土井亨分科員 ありがとうございます。
 私自身、地方分権というのは何なんだろうと考えた場合、権限を、また税財源を国から地方へ移譲することだけなんだろうというふうに私は思っているんです。地方分権推進をするというときには、その推進をする先に、やはり目指す日本の形、あり方、そういうものをしっかりとビジョンとして、また制度設計として地方や国民の皆さんに明示していただかないと、そういう議論さえも私は高揚しないというふうに思っております。
 ですから、まず何のために地方分権を推進するのか、そして推進することによって目指すものは何なのか、日本という国がどう変わるのか、こういうものがはっきりしていないというのが今の地方分権の推進の姿だろうというふうに私は思います。
 道州制という具体的な形で答申がなされたわけでありますから、私は、日本のあるべき姿は道州制だ、制度上いろいろな形の道州制があると思いますが、しかし、それを目指すことによって今国は地方分権というものをしっかりと推進していくんだというようなぜひメッセージを、私は強い気持ちで大臣に御期待をさせていただきたいと思います。
 それで、郵政民営化、大臣もサンドバッグのようになれと総理から言われて、省庁、ある意味党内からもいろいろたたかれ、言われた。振り返りますと、金融担当大臣のときも、不良債権処理、金融機関の再生等々で大分地方からたたかれたのではないかというふうに私は思います。
 不良債権を処理するために、金融検査マニュアルですか、これはグローバルスタンダードという形でつくられて、大分厳しくやられた。そのことが、地方の信金やら小さな銀行にまでその影響が及びまして、いや、グローバルスタンダードでは地域の経済を破綻させる、何でグローバルスタンダードだけなんだ、ダブルスタンダードでいいんじゃないか、後に方向を変えられて、今、ある意味それは間違いではなかったというふうに思っておりますけれども、そういう意味では、いろいろな批判を浴びながら、この国がしっかりと解決しなければならない、また改革のために前進をさせなきゃいけないことに、傷だらけになって大臣は取り組んでこられた。
 私は、これ以上に地方分権推進というのはサンドバッグ状態になるんだろうというふうに思っております。しかし、ぜひ私は、大臣に、サンドバッグになりながら、今まで以上傷つきながら、たたかれてもたたかれても、かたい意思で地方分権を推進していただきたいというふうに考えておりますし、御期待をいたしているところでございます。
 そこで、大変抽象的な御質問で恐縮でありますけれども、この地方分権推進にかける大臣としての思い、また理念、何としてもやり遂げるんだという決意、そういう強い意思をぜひお聞かせいただければ幸いだというふうに思っております。

○竹中国務大臣 今委員から、たたかれて、サンドバッグになってという総理からの言葉も御紹介ありましたが、正確に申し上げますと、郵政民営化のときは、サンドバッグではなくて、滝に打たれる修行僧になれというふうに言われたのを記憶しております。
 もう一点、ちょっと細かいことで恐縮でございますが、金融改革において、中小、地方の金融機関に関しては、いわゆる主要銀行向けの検査マニュアルとは違う形に、中小企業向けのマニュアルになっておりますので、その意味では、そういういわゆるグローバルスタンダードをすべて当てはめたという形にはなっておりません。ダブルスタンダードと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、中小、地方の実情に応じた、当時、私はリレーションシップバンキングと申し上げましたけれども、そういう形で現実的に対応したつもりでございます。
 ただ、いずれにしましても、土井委員のお尋ねでございます、本当に、不良債権、郵政民営化以上の決意と熱意を持って取り組まなければ、この地方分権というのは実現しないと思います。これまで、御紹介ありましたように、分権一括法とかいろいろな議論がなされてきて努力もされてきたわけですけれども、それでも本当に越えなければいけない大きな山がまだこの地方分権にはたくさんある、これは非常に厳しい改革であると思っております。であるからこそ、そもそも論を一度ここでぜひさせていただきたいということで、二十一世紀分権ビジョンの懇談会もつくらせていただいているわけでございます。
 現場を信じて現場に任せる、地方分権においてそれを実現しないと小泉構造改革の趣旨は貫かれないわけで、そこは私自身、従来以上の決意と熱意を持ってやらせていただいているつもりでございます。

○土井亨分科員 私の表現が至らなかったと思うのでありますけれども、金融検査マニュアル、これは私も、その当時いろいろ県会議員として信金の関係の皆さんとかお話ししましたときに、確かに大臣の言うとおりでございました。しかし、実態は、これは議論しませんけれども、都市銀行の検査マニュアルを当てはめていた。これに倣えというような表現で、厳しい検査をされていたというのも実態なんですね。自己資本率、あの当時、都市銀行は八%だったでしょうか、信金は四%。四%の信金に対しても、検査に来ると、いや、八%に近づけろ、こういう強い検査をされて、大変四苦八苦した。ですから、貸し渋り、貸しはがしというのは地方でも物すごかったということだけはぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。まあ、今、別な議論でありますから。
 それで、今回、三位一体、私も初めて議論に参加をさせていただきました。三位一体改革の目指すものは何なんだろうというふうに私は感じながら、議論に参画させていただいたところでございます。
 本来は、地方の税源の自由度を高め得る、また、ある意味、地方に対して課税自主権というものをどういうふうに機能させていくか、地方の財政裁量をどう高めるか、ここが私は、三位一体の目指すもの、制度のポイントだというふうに思っておりましたが、議論を聞かせていただいていますと、やはり、国庫負担率を引き下げるという手法で目標の税財源移譲に近づける、これに終始したのではないかな。だから、国と地方の綱引きのような形になってしまったのではないか。
 私は、しっかりと推進するためには、三位一体というものは評価をいたしております。ですから、物事を何もかも一〇〇%すぐに達成できるわけでありませんから、一歩一歩前進をしていく、そのための三位一体ということでの評価はありますが、やはり目指すものはしっかりと、そのことを打ち出しながら三位一体改革というものを進めていただきたいなというふうに思うんです。
 今回の国庫負担率の引き下げ等々、これは地方分権を進める上で効果が薄いというふうに私自身も思っておりますし、地方の首長さんなんかもそういう思いでいらっしゃるということも承知をいたしておりますけれども、この三位一体改革の目指すもの、また、私が今言った、課税自主権を含めて財政裁量を高める、そういうものからして、今回の三位一体についての大臣の所感をお聞かせいただきたいというふうに思います。

○竹中国務大臣 今、二点、御指摘とお尋ねがあったわけでございますが、目指すものは何なのかということと、自由度を高めるという観点から本当に評価できるのか、この二点であろうかと思います。
 言うまでもなく、三位一体の改革、地方にできることは地方でやっていただくんだという理念のもとで、地方の権限、責任を拡大する、同時に、行政のスリム化を国、地方を通じて行っていくんだ、それがまさに目指すものなわけでございます。結果として、三兆円の税源移譲が実現した、四兆七千億円の補助金改革が行われたというのは、それなりのやはり前進であろうかと思います。
 ところが、本当にこれは委員はよく御承知だと思いますが、我々としては、補助率の引き下げではなくて、完全に権限、自由度が地方に移るような形での改革というのを強く主張して、地方六団体と連携しながらそのことを強く強く主張してきたわけですが、現実問題として、補助金を持っているそれぞれの役所からの抵抗というのはもう大変なものがございました。そういう中で、補助率の引き下げというものも含む形になったというのは事実でございます。そして、その限りにおいては、地方の自由度は十分高まっていないのではないかという御批判も、確かにそういう面もあるということは申し上げなければいけないと思います。
 同時に、しかしその一方で、例えば公立保育所の運営費でございますとか、学校そして社会福祉施設の施設整備費等、施設費については今回初めて一般財源化できたわけでございます。これらによって、地方みずからの創意工夫と責任で政策を決められる幅というのは、これはやはり間違いなく拡大したんではないだろうかというふうにも思っております。
 三兆円の税源移譲が実現したという意味では、地方の自主財源は間違いなく強化されているわけでございます。補助金改革による地方の自由度拡大ともあわせまして、全体として地方分権の進展に資するものにはなっているというふうに思うわけでございます。
 今後、我々は、さらにこの成果を踏まえて、どのように地方でできることは地方にということを実現できるかということをさらに検討して深めていきたいと思っているところでございます。

○土井亨分科員 今、三位一体を進める中で省庁の抵抗が厳しかったというようなお話もいただきました。まさに私もそうだというふうに思います。
 もう一点。大臣は、三位一体の第二次改革というもの、私からすると抽象的だなというふうに思っているんですけれども、数値目標等々は掲げないでやりたいと新聞記事にも書いてございました。しかし、地方からしますと、もう第二次の要望ということで、九兆円ですか、税財源移譲してくれというような、最終的な形で具体的な数値目標まで掲げて要望している。
 私が思うには、やはり地方分権、三位一体改革というものの目指すもの、それが、国と地方の乖離があるのではないかな。ここがやはり同じベクトル、同じ方向性を向いておりませんと、省庁の抵抗に遭って腰砕けというふうになりかねない。とかく国と地方の綱引きということでそういうことだけがクローズアップされるんですが、大臣からすると、省庁とのいろいろな駆け引き、そういうことでいわゆる力をそがれるんだろうというふうに思っております。
 そういう意味では、平成七年だったでしょうか、推進法ができまして、また推進委員会も設けられて、そのときに私は、地方分権の推進、地方分権の目指すもののあり方というものがきっと具体的になるんだろうというふうに思っておりましたし、そのことによって、抵抗する省庁というものをしっかりとコントロールしながら、地方と国が一枚岩になってこの国の地方分権のあり方というものをしっかりと取り進めていかれるんだろうと思っておりましたが、なかなかそうはいかないというのが実態だというふうに思います。だから、政治のリーダーシップということが叫ばれるんだろうというふうに思います。
 ぜひ私は、本当に大変な、難しい質問かもわかりませんけれども、国が一枚岩になってこの国の形を変えるんだ、そのために地方分権をやるんだ、そのためにはやはりまず各省庁が同じベクトル、同じ決意を持って進めなければならない。同時に、地方もやはり同じベクトルで地方分権というものをしっかり進める、国とともに頑張ってこの国を変えていくんだという具体的な例示を持って進めていかなきゃいけない。そこが納得しませんと議論が空回りするんだと思っております。
 ぜひその点についての大臣のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。

○竹中国務大臣 今委員は本当に重要なことを御指摘されたと思います。
 まず、国がやはり一枚岩でなければいけない、そのとおりだと思います。地方は地方でしっかりと方向を定めなければいけない、そして国と地方の乖離があってはいけない、そのとおりだと思うんですね。
 ところが、国の中にもいろいろな省庁があって、よく縦割りの弊害というふうに言われますけれども、残念だけれども、それが現実問題としては確かに残っている。そして、地方はある意味で国以上に多様だという面があろうかと思います。その中で、国と地方がさらに同じベクトル、同じ方向を向くというのは大変難しいことであるというふうになっている。
 国の一致結束に関しては、これは総理が再三、とにかく地方の意見を尊重してやるんだということを何度も発言されて、そして嫌がる省庁も含めて何とか引っ張っていって、今回の三位一体改革という一つの成果を出しているんだと思います。
 私は、そういう意味では、今後も決して、補助金の改革と税源の移譲とそして交付税の改革、この重要性というのは全く変わらない、これは第一期も今後も全く変わらないと思っております。
 私が申し上げているのは、ただ、例えば三年の間にこれを五兆円、これを四兆円というような、そういう改革を今後続けることには限界があるのではないのか。その意味では、もう少し幅広い土俵に、土俵をこのような形で限定しない、もっと別の要素も入ってくるんだと私は思っているんですけれども、しかし、それでも最終的には何をやるかというのははっきり固めなきゃいけないと思っています。そういうことをぜひ今の段階で議論させていただいて、目標ははっきり定めなきゃいけないんだと私は思います。
 同時に、国と地方のベクトルが同じになるように、このようなそもそも論を地方六団体でもやっていただきたい、だから検討してくださいということをお願いしているわけでございます。
 今、それぞれに検討を進めているところでありますので、ぜひ、委員おっしゃるように、国としては一枚岩になって、そして国と地方が同じ方向を向いて、改革がさらに進められるように努力をしたいと思っております。

○土井亨分科員 私も大臣のおっしゃることはよくわかります。ですから、冒頭で申し上げましたとおり、地方分権というのは単なる国から地方への権限、税財源の移譲ということであって、決してその先に、国の形を変える、行政システムを変える、そういうものがイメージされないものだというふうに私も理解をいたしております。
 ただ、地方はやはり、そのことによって国がどう変わるという議論まではまだ行っていない、地方が行っていないんですね。それは道州制がうっすらとあるのではないかという議論もありますけれども、やはり今、地方も、税財源をとにかくとってくるんだ、地方が自立できるぐらいの税財源をしっかり確保するんだということだけに終始をしていて、確かにそういう先のあるべき姿という議論というものも、またしっかりとしたビジョンというか制度設計も提示されていないというのが私は現実だと思います。
 そういうものをしっかり調整しながら、地方分権を推進しながら、何度も申し上げますが、この国の行政システムのあり方、国の形というものをまずしっかり明示することからスタートをしないと、いつまでたっても国と地方の綱引きだけで終わってしまうというような危険性、私は、そのうちにまた首都機能移転というようなものでお蔵入りというか、ちょっとしりすぼみをしていきそうな気もしますので、その辺で、ぜひ同じ思いで取り組んでいただきたい、そして同じ思いをしていただくようにしっかりと地方にも説明をしていただきたいというふうに思います。
 時間がありませんので最後の質問になるんだと思いますが、よく地方分権を語るときに言われるのが、国と地方の役割分担をしっかり明示すべきだと。確かにそうだというふうに私は思います。国がやるもの、地方が担うもの、こういうものがはっきりしないと税財源移譲というものも中途半端になるんだろうと私は思いますし、そういう議論がなかなかされていないというか、国から全く明示されていない。
 そういう中で、けさの記事の、先ほどの地方制度調査会で、基本的な国と地方の役割分担、こういう形がいいんではないかというのが明示されておりました。平成八年の推進委員会の第一次答申にも、国と地方の役割分担という形で、基本的な形で、こういうものは国、こういうものは地方が担うべきだという役割分担というものが答申をされた経緯もございます。
 そういうものも踏まえて、大臣が今頭の中で思っておられる国と地方の役割分担、それをちょっとお聞きしたいというふうに思いますし、そのことも私は大変重要なことだというふうに思っております。むしろそのことなくして地方分権の推進とか税財源移譲の推進というのはないんだろうというふうに思っておりますので、抽象的になって申しわけありませんが、国と地方の役割分担をしっかりと明示するということから考えて、そのことについての御所見というものをお聞かせいただければと思います。

○竹中国務大臣 国と地方の役割分担、まさにそこが根幹だと思います。同時に、それをなかなか、言葉で短時間で説明させていただくには、これは大変難しい問題でもあろうかと思います。
 今御指摘になられたように、地方分権一括法によって、十一年の制定によって、国と地方公共団体を法制面で上下主従の関係に立たせてきた機関委任事務制度が廃止されたということで、それはそれで、またそのときの自治事務とか法定事務とかでそれなりの役割分担の議論がなされてきたのだというふうに思います。
 同時に、まさに国と地方の、地方から見るとより大きな自由度をやはり持っていただく、おっしゃったとおりです。自由の裏側には当然責任というものがあるわけですから、責任の議論をして初めて自由の議論があるし、自由の議論をして初めて責任の議論がある、そういうことをより明確にしていかなければいけない、それが三位一体改革の次の段階につながっていく、そういう立場で二十一世紀のビジョン懇談会で議論をしていただいているところでございます。
 その意味では、自由度を地方として持っていただくために、例えば、法律と条例の関係、法律で定めた一定範囲で条例は決めていいというようなシステムがあってもよいのではないかというふうに私は思っておりますし、課税自主権の問題についても、より自由にやっていただく余地はあるだろう。しかし、自由にやるということは当然責任が伴います。そういう議論を通して、国と地方のまさに役割分担の議論を明確にしていきたいというふうに思っているのが現状でございます。
 ぜひ、ここでの議論を踏まえて、同じことを地方六団体でも議論していただいていますので、ある時点でのすり合わせも含めまして、しっかりと対応していきたいと思っております。

○土井亨分科員 私は、平成八年に推進委員会の、役割、国の仕事、地方の仕事というものの答申がなされておりますので、基本はそこにあるんだろうというふうに思っております。時間がありませんから詳しくお話ししませんが、私が拝見をしても、よく仕分けできているなと。仕分けという言葉が適当かわかりませんが、ぜひ、そういうものも含めて、具体的にたたき台というかそういうものを示していただいて、地方と議論をさせていただきたいというふうに思います。
 最後、短く一点だけ。
 私、県会議員をやっているときに、地方の自治体の財政が、なぜ宮城県はこんなに悪いんだ、なぜこんなに借金がふえたんだと知事に質問しますと、必ず、いや、国の経済対策に呼応したそのツケが今の宮城県の財政を厳しくしているんだと。これはまさしく知事の責任逃れだというふうに思っております。経済対策に呼応したことが、そのことが地方の自治体の経済、財政を危機におとしめているというのは、まさしく地方の責任逃れだというふうにしかとらえられない。
 そういう責任逃れ、責任を国に押しつけられないためにも、しっかりとやはり私は国と地方の役割分担というのを具体的に明示していただきたい、そのことをお願いさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。